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2025年12月5日金曜日

【ゲーム制作】なぜUnityではなく、あえて「Python」でゲームを作るのか?

 

はじめに

 ゲーム開発を始めようとした時、99%の人はこう言います。「Unityを使え」と。 あるいは「Unreal Engine 5がすごい」と。

 確かに、それらは素晴らしいツールです。3Dグラフィック、物理演算、アセットストア……すべてが揃っています。 しかし、私(SAPO_CREATE_STATION)はそれらを使わず、あえて「Python + PySide6」という、ゲーム開発においては茨の道を選びました。

「なぜわざわざ大変な道を行くのか?」 今回は、その技術的な合理性と、エンジニアとしての個人的な美学について語ります。

§1. 「ブラックボックス」を許せないエンジニア気質

 Unityは便利すぎます。「Rigidbody」を付ければ重力が働き、「NavMesh」を使えば敵が追いかけてきます。 しかし、そこには「なぜそう動くのか?」という理解が欠落しがちです。

 私は、自動車を運転したいのではなく、エンジンを分解して組み立てたいタイプの人間です。

  • 描画処理はどうなっているのか?

  • メモリはどう管理されているのか?

  • アルゴリズムはどう動いているのか?

 Pythonでゼロから組むことは、これらをすべて自分の管理下に置くことを意味します。 「車輪の再発明」は無駄と言われますが、学習者にとってこれほど贅沢な経験はありません。

§2. 戦略SLGの本質は「数値計算」にある

 私が作っているのは、派手なアクションゲームではなく、硬派な戦略シミュレーション(RTS/SLG)です。 このジャンルにおいて重要なのは、グラフィックの美麗さよりも「計算の強さ」です。

  • ボロノイ図による複雑な領域計算

  • 経済シミュレーションのパラメータ変動

  • AIの意思決定ロジック

 これらを扱うにおいて、科学技術計算の王者であるPython(NumPy / SciPy)に勝る言語はありません。 Unity(C#)で複雑な行列計算を書くよりも、Pythonで import numpy する方が、私の作りたいゲームには圧倒的に適しているのです。

§3. 「ゲーム」ではなく「シミュレーター」を作りたい

 私の作品(Corporate_Warsなど)を見ていただければ分かりますが、私が目指しているUIは「ゲーム画面」というより「業務アプリ」や「制御コンソール」に近いです。

 PySide6(Qt)は、元々デスクトップアプリを作るためのフレームワークです。 ボタン、スライダー、ウィンドウの挙動……これらはゲームエンジンで作るよりも、アプリ開発用フレームワークで作った方が、遥かに「機能的で美しいUI」を構築できます。

 私は「没入感のある世界」よりも、「精緻に動くコンソール画面」を作りたい。だからPySide6が正解なのです。

§4. 「import」するだけ。ライブラリ管理の透明性

 Unityなどは「ライブラリ(アセット)が豊富」とよく言われます。 しかし、その実情は必ずしも楽ではありません。

 便利な機能を求めて個人サイトやGitHubからパッケージをダウンロードしたものの、Unity本体のバージョンと合わずにエラーを吐く。 いわゆる「整合性の崩壊(バージョン落ち)」です。 他人の書いたコードのエラー修正に時間を費やすことほど、開発のモチベーションを下げるものはありません。

 その点、Pythonは天国です。 基本的には pip install して import するだけ。 世界中の天才たちがメンテナンスしている標準化されたライブラリを、環境設定ごときで悩み時間を浪費することなく、即座に「自分の武器」として組み込めます。 この**「導入の軽さ」**こそが、個人開発のスピード感を支えているのです。

おわりに:弘法は筆を選ばないが、マニアは筆を作る


 もちろん、今後3Dアクションを作りたくなればUnityを使うでしょう。適材適所です。 しかし、「自分の掌で把握できる範囲で、論理を積み上げて世界を作る」という楽しみにおいて、Pythonでのフルスクラッチ開発は最高の遊び場です。

 もし、貴方が「既存のエンジンでは何かが違う」と感じているなら。 一度、真っ白なテキストエディタとPythonだけで、ウィンドウ一つ出すところから始めてみませんか? そこには、不便だけど自由な世界が広がっています。

2025年12月4日木曜日

【技術解説】なぜ自作ゲームは後半重くなっていたのか?PySide6における「CPU描画」と「GPU加速」の戦い

 

はじめに

 現在開発中の戦略RTSですが、開発が進むにつれてある問題に直面しました。 「オブジェクト(領土やユニット)が増えると、描画がカクつく」

 Python自体の処理速度の問題もありますが、実はGUIライブラリである「PySide6 (Qt)」の描画の仕組みに大きな理由がありました。 今回は、ハードウェア(CPU・GPU)の視点から、アプリが重くなる原因と対策を考察します。

§1. 「QPainter」は誰が仕事をしているのか?

 PySide6で図形を描くときに使う QPainter。 実は標準設定では、この描画処理のほとんどを「CPU(中央演算処理装置)」が行っています(ラスタライズ処理)。

  • CPUの得意技: 複雑な計算、条件分岐(「もし人口が〇〇なら…」というロジック)。

  • CPUの苦手技: 何万個ものピクセルの色を単純に塗りつぶす作業。

 RTSのマップ描画のように「数千個のボロノイ図形を、毎秒60回塗りつぶす」という処理は、CPUにとっては「天才数学者に、広大な壁のペンキ塗りをさせている」ようなものです。これでは過労(高負荷)で動作が遅れてしまいます。

§2. GPU(グラフィックボード)に仕事を投げたい!

本来、こうした「単純かつ大量の描画」は、GPUの専門分野です。 GPUには数千個の小さなコアがあり、「一斉にペンキを塗る」作業が得意だからです。

PySide6でGPUを使うには、大きく分けて2つのアプローチがあります。

アプローチA: QOpenGLWidgetを使う(本格派)

 通常の QWidget の代わりに、QOpenGLWidget を継承して画面を作ります。 こうすると、Qtは描画命令をOpenGL(GPUへの命令)に変換してくれます。

  • メリット: 爆速になります。数万ポリゴンでもヌルヌル動く可能性があります。

  • デメリット: 実装難易度が高いです。座標系が変わったり、いつものQPainterの機能が一部制限されたりします。

アプローチB: ハードウェアアクセラレーションを有効化する(お手軽派)

コードの冒頭に数行追加して、レンダリングエンジンを切り替える方法です。

Python
# 例:OpenGLを使用するようにQtに指示する
app.setAttribute(Qt.AA_UseDesktopOpenGL)

 これだけで改善する場合もありますが、ドライバとの相性などで表示が崩れるリスクもあります。

3. 今すぐできる「描画のキャッシュ化」(現実的な解決策)

 GPUへの完全移行は工事が大変ですが、CPUのままでも劇的に軽くする方法があります。 それは「QPixmapへのキャッシュ(焼き付け)」です。

  • 重い処理: 毎フレーム paintEvent で「ボロノイ図の計算」と「塗りつぶし」をやり直す。

  • 軽い処理:

    1. 最初に1回だけ計算して、結果を QPixmap(画像データ)としてメモリに保存する。

    2. 次のフレームからは、計算せずに「さっきの画像を貼り付ける」だけにする。

 これなら、CPUの負荷は「画像のコピー」だけになり、後半になっても重くなりません。 「動かない地形」は画像化し、「動くユニット」だけをその上に描画する。これがRTS軽量化の定石です。

まとめ

  • PySide6の標準描画はCPU依存なので、オブジェクトが増えると限界が来る。

  • GPU(OpenGL)を使えば解決するが、実装コストが高い。

  • まずは「再描画を減らす(キャッシュ化)」ことから始めるのが、最適化の第一歩。

今後のRTS開発では、この「キャッシュ化」技術を導入して、数千プロヴィンスの大規模マップでもサクサク動く環境を目指します。

PC君が限界にきて悲鳴をあげる(by Gemini)

編集後記:知らなかった過去への自戒

 正直なところ、このGPU処理の仕組みを知る前の私は、今までのゲーム制作において「なんか処理が重くなるなー」と漠然と思いながら作っていました。

「Pythonだから仕方ない」とか「PCのスペックの問題かな」と片付けてしまっていましたが、原因はもっと根本的な描画の仕組みにあったわけです。 理由が分かれば、対策も打てます。

 無知とは恐ろしいものですが、同時に伸びしろでもあります。 今後は、この反省を活かして積極的にGPU処理を取り入れ、軽量でサクサク動くゲーム作りを目指していきたいと思います。

2025年12月3日水曜日

【開発秘話】凍結された計画たち:いつか再始動したい「2つの未完プロジェクト」

 

はじめに

 開発者のフォルダの奥底には、日の目を見ることなく眠っている「未完のプロジェクト」が必ずいくつか存在します。

 技術不足、別のプロジェクトへの注力、解決できないバグ……。 理由は様々ですが、それらは失敗作ではなく、いつか再始動するための「種」でもあります。

 今回は、GCS-97で一時凍結(フリーズ)されているものの、今の技術ならリベンジできそうな2つの構想を紹介します。

§1. 領土拡大・育成型RTS『VS.SANGOKU』

一つ目は、国家運営シミュレーションの構想です。

  • コンセプト: 1マスから始まる天下統一
     最初はたった1マスの土地からスタート。施設を建てて資金を稼ぎ、隣接する土地を購入して領土を広げていくゲームデザインでした。

  • こだわりの「階層システム」
     単に土地が広いだけでなく、「村 < 町 < 郡」という行政単位の階層構造をシミュレートする予定でした。 「町の中に村があり、郡の中に町がある」という構造を作り、最小単位である「村」で軍隊を育成して戦闘を行う……という、かなり細かい解像度のRTSを目指していました。

  • 凍結の理由
     当時、疑似選挙シミュレーターである『Game of Civic Strategy』の開発が本格化したため、リソースを集中させるために計画を凍結しました。

  • 今後の展望
     実は今開発している「Python製・地図自動生成エンジン」の「ランク付け機能(市・町・村の自動判定)」は、このVS.SANGOKUの思想を色濃く継承しています。 今なら、当時の構想以上のクオリティで再始動できるかもしれません。

§2. GCSノベリスト専用テキストエディタ

二つ目は、GCS-97の小説部門(暁野 朧)の活動を支えるためのツール開発です。

  • コンセプト: 執筆に特化した俺の最強エディタ 
     既存のエディタに頼らず、自分たちが使いやすい機能だけを詰め込んだ専用ツールです。 テキスト入力機能や、独自の拡張子での保存・読み込み機能までは実装が完了していました。

  • 立ちはだかった壁: 「縦書き」と「印刷」
      
    順調に見えた開発ですが、Wordのような「縦書き表示」と「印刷レイアウト」の実装段階で壁にぶつかりました。 横書き文化のプログラミング言語において、日本語の「縦書き」を完璧に制御するのは想像以上の難易度です。AI(Gemini)と相談しながら解決策を模索しましたが、実装コストが見合わず、進捗が低下したため凍結となりました。

  • 今後の展望 技術力向上により、PDFライブラリの活用や描画エンジンの見直しで解決できる可能性が見えてきました。いつか「GCS公式エディタ」として完成させたい野望は消えていません。


おわりに

 こうして振り返ると、凍結されたプロジェクトにも当時の熱量やこだわりが詰まっています。 特に『VS.SANGOKU』のシステムは、形を変えて現在の開発に活かされています。無駄な開発など一つもない、ということですね。

【Python/PySide6】#1."Pixel Conquest"地図画像ゼロ!計算だけで描画する「自作戦略RTS」開発ログ

 

はじめに

現在、PythonとPySide6を用いて、独自の「戦略RTS(リアルタイムストラテジー)ゲームエンジン」を開発しています。

既存のゲームエンジン(Unityなど)を使わず、GUIライブラリであるPySide6の描画機能だけで、どこまで本格的な戦略シミュレーションが作れるか?という技術的な挑戦でもあります。

今回は、現段階で完成している「マップ自動生成システム」と「内政エンジン」の概要をまとめます。

§1. プロジェクトのコンセプト

「無限に遊べる地図を、ボタン一つで。」

 このゲームの最大の特徴は、画像素材を一切使わず、プログラム(数学)によって地形を動的に生成・描画している点です。 ユーザーは付属の「マップエディタ」で世界を創造し、そのデータを「ゲームエンジン」に読み込ませて遊ぶことができます。

§2. マップシステムの核心技術:ボロノイ図による領域生成

 戦略シミュレーションの命とも言える「プロヴィンス(領土の最小単位)」の作成には、ボロノイ図のアルゴリズムを採用しています。

A. 自動生成の仕組み

  1. 40×40のグリッド上に、ランダムな「核(シード)」を約50〜150個配置。

  2. 各マスを「最も近い核」に所属させることで、不規則で自然な形状の領土を計算。

  3. これにより、作画コストゼロで、何度でも新しい形の世界地図を生み出せます。

B. 階層的な境界線描画

視認性を高めるため、境界線の描画処理をレイヤー分けしています。

  • 国境線(International Border): 太い黒の実線。異なる国同士の境界。

  • 州境(Province Border): 暗い色の点線。国内の行政区画。

これにより、一目で「国の勢力図」と「細かい管理区画」が把握できるUIを実現しました。

C. 面積による「格付け」自動判定

生成されたプロヴィンスのマス数(面積)を自動計測し、土地の価値をランク付けしています。

  • ランク: 市(大) > 町(中) > 村(小)

  • パラメータ算出: ランクに応じて、初期の「人口」や「工業力」をランダム配分。

広い土地は豊かな都市になりやすく、狭い土地は寒村になる……といったリアリティを、計算だけで表現しています。

§3. システム構成:作る「エディタ」と、遊ぶ「エンジン」

システムは大きく2つのモジュールで構成されています。

① マップエディタ (Map Editor)

「神の視点」で世界地図を作成・編集するツールです。

  • 地形リロール: 気に入らなければボタン一つで再生成。

  • 塗り絵機能: 国を選択してクリックするだけで、領土を変更可能。

  • JSON出力: 作成したデータは world_map.json として保存され、ゲーム側に渡されます。

② ゲームエンジン (Game Engine)

エディタで作ったデータを読み込んで遊ぶプレイ環境です。

  • 国力計算: 領有プロヴィンスのデータを合算し、国の総国力(人的資源・IC)を算出。

  • 内政システム: 工業力(IC)をスライダー操作で配分し、「歩兵装備」「戦車」などの生産ラインを稼働させます。

おわりに

開発途中のマップエディタ画面
ダークモードでも見やすくする予定

 現在はマップ生成と基礎的な内政システムまで実装が完了しました。 今後は、この地図の上でユニットを動かす「移動・戦闘アルゴリズム」の実装を進めていく予定です。

2025年12月2日火曜日

番外編コラム2 「何を作るか」の決め方~ SAPO流・ジャンルの切り取り術 ~

 「RPGを作りたい」「シミュレーションを作りたい」。ジャンルを決めた後、多くの人が悩みます。「で、具体的にどんなゲームにしよう?」 既存のゲームの真似で終わらないために、SAPO_CREATE_STATIONがおこなっている「焦点(フォーカス)の絞り込み」についてお話しします。

1. 同じ「会社経営」でも、切り口で別ゲーになる

「会社経営シミュレーション」というジャンル一つとっても、全ての要素(人事、営業、開発、買収、インフラ…)を盛り込む必要はありません。むしろ、「どこを捨てて、どこを尖らせるか」が重要です。

SAPOが開発した2つの作品を例に見てみましょう。どちらも「会社経営」ですが、中身は全く別物です。

  • 『Corporate_wars』(前作)

    • ターゲット: 硬派なシミュレーション好き。

    • 焦点: 組織の拡大。

    • システム: 「営業所の設立」や「研究機能」を実装し、企業戦争を勝ち抜く戦略性を重視。

  • 『Regional_Inc』(新作)

    • ターゲット: カジュアル層(優しいUI)。

    • 焦点: 地域のインフラ維持。

    • 引き算: 前作にあった「営業所」「研究」をあえて削除。

    • 足し算: 代わりに「子会社機能」「株価維持」、そして「資源(水道・電気・食料)」の管理を重視。

このように、「今回はここをゲーム化するぞ」というフォーカスを変えるだけで、同じジャンルでも全く新しい遊び体験が生まれます。

2. SAPO流・開発の2ステップ

企画が固まったら、どう作るか。ここでもSAPO流の鉄則があります。

  • Step 1: 「最低限のシステム」だけ作る まずは、そのゲームの背骨となる部分だけを作ります。『Regional_Inc』で言えば、「株価・インフラ・建築」の3つだけです。装飾は後回し。これでゲームとして成立するか確認します。

  • Step 2: 「個人的な面白さ」を足していく 土台ができたら、そこからは趣味の時間です。「ここにこんな機能があったら、個人的に面白いんじゃないか?」という要素を足していきます。 土台がしっかりしているからこそ、後から足すスパイスが活きてくるのです。

まとめ

「何でもできるゲーム」は「何をしていいか分からないゲーム」になりがちです。 勇気を持って機能を削ぎ落とし、あなたが「面白い!」と思う部分だけにスポットライトを当ててください。それが、あなただけのオリジナルゲームになります。

 また、過去のゲームにあった機能がすべて正しいというわけではないと私は考えています。確かに、時間をかけて重要なものは増えてきたと思いますが、すべてを実装することが必ずしも正義にはならないと考えています。自分を信じて、自分が面白いと思ったゲームを出す。それがインディーゲーム開発者の心得かもしれません。

#5(END)ゲーム制作のすすめ(最後の魔法「音」と、終着駅「完成」 ~ 9割の完成より、1割の公開を ~)

 

【はじめに】

 ここまで、企画、プログラム、グラフィックと進めてきました。画面の中ではキャラクターが動き、背景も整っています。 しかし、まだ何かが足りない。「空気感」です。 今回は、ゲームに命を吹き込む最後の魔法「サウンド」の話、そしてこの連載のゴールである「完成」についてお話しします。

§1. 音は「手応え」である

 初心者が後回しにしがちなのがBGMと効果音(SE)です。しかし、実は「ゲームの面白さの半分は音でできている」と言っても過言ではありません。

  • 効果音(SE)の役割: ボタンを押した時の「ポチッ」、敵を斬った時の「ズバッ」、ジャンプした時の「シュッ」。 これらがあるだけで、プレイヤーは「自分が操作している」という強烈な手応え(爽快感)を感じます。逆に音が無いと、どんなに凄い攻撃も「空気」のように感じてしまいます。

  • BGMの役割: その場所が「楽しい村」なのか「危険なダンジョン」なのかを瞬時に伝えます。

 最近は「Suno AI」などの音楽生成AIも進化しています。#4の画像生成と同じく、イメージ通りの曲をAIに作ってもらうのも現代的な選択肢です。もちろん、「魔王魂」さんのような素晴らしいフリー素材サイトを使うのも王道です。

§2. 永遠の課題「エターナル」を回避せよ

 開発が進むと、多くのクリエイターが陥る罠があります。 「もっと機能を足したい」「ここを直したい」…そうやってこだわっているうちに熱が冷め、未完成のまま放置される(エターナル化する)ことです。

 ここで、SAPO_CREATE_STATIONから最後のアドバイスを送ります。 「完成とは、あなたが満足することではなく、他人が遊べる状態になることである」

  • バグだらけの100ステージより、バグのない1ステージの方が価値があります。

  • タイトル画面があって、ゲーム本編があって、ゲームオーバー画面がある。これで立派な「完成品」です。

§3. 世に出してこそのクリエイター

 出来上がったゲームを、恥ずかしがらずに公開しましょう。 友人に見せるでもよし、フリーゲーム投稿サイトにアップするでもよし。

「つまらないと言われたらどうしよう」と怖がる必要はありません。 「ゲームを1本完成させた」 その事実だけで、あなたは全人類の99%が到達できない場所に立っています。その経験は、次の作品を作るための最強の武器になります。


【連載の終わりに】

Vol.1(#1)の「構想」から始まったこの旅も、ひとまずここで終着駅です。

 しかし、ここからが本当のスタートです。 SAPO_CREATE_STATIONは、あなたが作ったゲームという「列車」が走り出すのを、心から楽しみにしています。

さあ、エディタを開いて。あなたの世界を創りましょう!

#4.ゲーム制作のすすめ(プレイヤーを惹きつけるグラフィック戦略 ~ 素材サイト、そして生成AIという現代の魔法 ~)

 

【はじめに】

 ゲームループ(#3)を理解し、豆腐のようなキャラが動くようになったあなた。次にぶつかる壁はこれでしょう。 「…画面が地味すぎる!」

 「自分には絵心がないから…」と諦めるのはまだ早いです。 実は、かくいう私(SAPO)も、最近は画像生成AIに頼ることが多くなってきました。今回は、絵が描けない人でもプロ並みの画面を作るための「現代の戦略」をお伝えします。

§1. 「統一感」がクオリティの正体

どんな手段を使うにせよ、プロと素人の決定的な違いは「統一感」にあります。

 リアルな油絵風の背景に、ポップなアニメ調のキャラがいたら違和感がありますよね? 素材サイトを使おうが、AIで作ろうが、「テイスト(画風)と色使い」を統一すること。これが絶対のルールです。ここさえ守れば、棒人間でも立派なアートになります。

§2. 第三の選択肢「生成AI」の活用

 一昔前は「自分で描く」か「素材サイトを探す」の二択でした。しかし今は「AIに描かせる」という選択肢があります。

  • メリット: 「剣を持った金髪の騎士」など、自分のイメージ通りの素材が数秒で手に入ります。背景、アイテムアイコン、タイトル画面などで特に威力を発揮します。

  • SAPO流のコツ: AIは「ガチャ」のような側面があります。何度も生成して、「統一感」に合う奇跡の一枚を探す根気が必要です。また、生成された画像の指がおかしい時などは、そこだけ自分で修正(レタッチ)する工夫も必要です。

生成AIに書いてもらったunity風ゲームエンジンを立ち上げた画像


§3. フリー素材も賢く使う

 もちろん、既存のフリー素材サイトも強力です。特にUI(ボタンや枠)やエフェクト(爆発など)は、AIで作るよりも素材集から持ってきたほうが早くて高品質な場合が多いです。

  • ハイブリッド戦略: 背景はAIで壮大に作り、キャラクターやUIは統一されたドット絵素材を使うなど、適材適所で使い分けるのが賢いクリエイターです。

§4. UIは「親切心」で設計する

 最後に、どんなに絵がすごくても、操作画面(UI)が不親切だとプレイヤーは逃げます。 UIデザインの極意は、プレイヤーへの「おもてなし」です。「メニューはここですよ」「HPはここですよ」と、分かりやすく案内する看板を作るつもりで配置しましょう。


【まとめ】

 「絵が描けない」は、もはや言い訳にならない時代が来ました。 AIという頼もしい相棒と、世界中のフリー素材。これらを指揮者のようにまとめ上げ、あなただけの世界観を構築してください。

余談:最近は生成AIにドット風に書かせることができるので、グラフィックALLAIも可能かなと思います。オリジナリティは出しましょう。

#3.ゲーム制作のすすめ(ゲームループを理解せよ ~ ゲームの世界が動き続ける仕組み ~)

 

【はじめに】

道具(#2において)は揃いましたか?では、いよいよ開発区間へ出発進行です!

…と言いたいところですが、その前に一つだけ、絶対に理解しておかなければならない「ゲームプログラミングの鉄則」があります。 それは、普通のアプリ(電卓やExcelなど)とゲームの決定的な違いです。

  • 普通のアプリ: ユーザーが何か入力するまで、じっと待っている。

  • ゲーム: ユーザーが何もしていなくても、世界は動き続けている。

 敵は迫ってくるし、AIは動き続け、時間は進むし、BGMは流れる。この「動き続ける世界」をどうやって作っているのでしょうか?

§1. パラパラ漫画の原理

 実は、ゲーム画面は動いていません。ものすごい速さで「静止画」を切り替えているだけです。 これは「パラパラ漫画」やアニメーションと同じ理屈です。



 この「1秒間に何枚絵を切り替えるか」をFPS(Frames Per Second)と呼びます。一般的なゲームは60FPS。つまり、1秒間に60回も画面を描き直しているのです。

§2. ゲームの心臓部「無限ループ」

 では、どうやって1秒に60回も処理を行っているのか? ここで登場するのが、プログラミングの禁じ手とも言われる「無限ループ(While True / Loop)」です。

 ゲームのプログラムは、起動した瞬間から終了するまで、猛スピードで以下の3つのステップを延々と繰り返しています。これがゲームの心臓の鼓動(ゲームループ)です。

【ループの1周(約1/60秒)でやっていること】

  1. 入力(Input)を受け取る

    • 「今、プレイヤーは右キーを押したか?」「ボタンを押したか?」をチェックします。

  2. 更新・計算(Update)する

    • 入力に合わせてキャラの座標を少し変える。

    • 敵をAIで動かす。

    • 弾が当たったか判定する。

  3. 描画(Render)する

    • 計算結果に基づき、キャラクターや背景の絵を画面に表示する。

 そしてまた「1. 入力」に戻る。これを人間には感知できない速度で繰り返すことで、キャラクターが滑らかに動いているように見えるのです。

§3. 「フリーズ」の正体

 この仕組みがわかると、ゲームが「重い」「カクつく」理由もわかります。

 もし「2. 更新・計算」のステップで、ものすごく時間のかかる計算(例えば、画面上の敵1万体の動きを計算するなど)をしてしまったらどうなるでしょうか?

 1周に1秒かかってしまったら、画面は1秒に1回しか更新されません(1FPS)。これが「ラグ」や「カクつき」の正体です。最悪の場合、次の入力すら受け付けなくなり「フリーズ」します。

 ゲームプログラマーは、常に「いかにこの1周の処理を軽くして、1/60秒以内に収めるか」という、時間との戦いをしているのです。
※処理が間に合わない場合は、リアルタイムのゲームの場合パラメータを減らしたり、ゲーム速度を遅くするなどを行わなければ、データが崩れたり、ゲームがクラッシュしたりの原因になります。


【まとめ】

「キャラクターが右に動く」 プレイヤーにとっては単純なことですが、プログラムにとっては「右キー入力を検知し、X座標を計算し、新しい位置に絵を描き直す」というループの結果なのです。

 この感覚を掴めば、あなたはもうゲームクリエイターの思考回路を手に入れています。 次はいよいよ、この世界に彩りを加える「素材」の話に入っていきましょう。

#2.ゲーム制作のすすめ(開発環境という名の切符を手に入れる ~ あなたに合ったエンジン・言語の選び方 ~)

 

【はじめに】

 行き先(作りたいゲームの規模)が決まったら、次は乗る列車(ツール)を選びましょう。 現代には無料かつ高性能な制作ツールが溢れています。「Unity」「Unreal Engine」「Godot」……名前を聞いたことがあるかもしれません。 しかし、選択肢が多すぎて迷子になることも。ここではSAPO_CREATE_STATION流の視点で、おすすめの「切符」を紹介します。

§1. 「エンジン」か「コード」か

大きく分けて2つのルートがあります。

  • A. ゲームエンジン(Unity, Godotなど)

    • 特徴: 物理演算や3D表示など、すごい機能が最初から用意されている。

    • メリット: 市販レベルの見た目のゲームが作りやすい。

    • 注意点: 機能が多すぎて、ツールの操作を覚えるだけで一苦労。「なぜ動いているか」がブラックボックスになりがち。

  • B. プログラミング言語(Python, C言語など)

    • 特徴: 必要な機能を自分で書く。

    • メリット: 「ゲームが動く仕組み」を根本から理解できる。応用が効く。

    • 注意点: 最初は地味な画面になりがち。

イメージ(作りやすいが型にとらわれるゲームエンジン:ブロック)
イメージ(創作性が必要だが自由なプログラムコード:粘土)

§2. 初心者にこそ「Python」を推したい理由

あえて言います。最初はPython(パイソン)がおすすめです。 特に Pygame などのライブラリを使えば、短いコードでウインドウを出して絵を動かすことができます。

  • 読みやすい: 英語の文章に近い感覚で書けるので、挫折しにくい。

  • ロジックが身につく: 「もし(if)」「繰り返し(for/while)」といった、プログラミングの基礎体力がつきます。ここで覚えた考え方は、将来UnityやC++に移行しても100%役立ちます。

  • 汎用性: ゲーム以外(AI、自動化ツールなど)にも使える最強のスキルになります。

§3. 開発環境のセットアップは「最初の儀式」

「よし、Pythonやるぞ!」と思っても、インストールでつまづく人は多いです。 これは誰もが通る「儀式」だと思ってください。

  1. Python本体をインストール。

  2. コードを書くためのエディタ(VS Codeなど)を入れる。

  3. 「Hello World」と画面に出す。

 ここまでできれば、あなたはもうエンジニアの入り口に立っています。エラーが出てもめげないで。コピーして検索すれば、答えは必ずネットの海にあります。

【まとめ】

 道具に使われてはいけません。道具はあくまで「あなたのアイデアを形にするための筆」です。 まずは無料のPythonを入れて、自分の手でコンピュータに命令する楽しさを味わってみましょう。


#1.ゲーム制作のすすめ(「作りたい」を「作れる」に変える技術~ 壮大な夢を、今日着手できるタスクへ ~)

 はじめに

「いつか自分だけのRPGを作りたい」や「世界中が遊ぶアクションゲームを作りたい」、またはシミュレーションゲームやカーレーシングゲームを作りたいなど、皆さん思ったことはありませんか?

 その情熱は素晴らしい燃料です。しかし、多くの列車(プロジェクト)は、駅を出る前に燃料切れを起こしてしまいます。なぜか?それは「荷物が重すぎる」からです。今回は、夢を現実に着地させるための「エスコープ(規模)調整」の話をします。

§1.「超大作」という名の落とし穴

「最初から最高のグラフィックで、壮大なストーリーで、オンライン対戦もつけて…」 夢を見るのは自由ですが、初心者がいきなり「FF」や「グランツーリスモ」を目指すのは、免許取り立てでF1レースに出るようなものです。
※もともとプログラムがそこそこ書けたり、絵が得意な場合は時間をかければできるかもしれないですが...
 ゲーム開発やサービスなどは開発時間(それにかかる時間:Time)とゲームのクオリティ(サービスの充実度:Quality)と開発コスト(ゲーム制作で素材を買った場合などの費用:Cost)がだいたいの場合問題になります。

現実: 99%の確率で、完成する前に力尽きます(エターナル化)。

対策: プロの開発現場でも、最初は四角い豆腐のようなキャラが動くだけの「プロトタイプ(試作)」から始まります。まずは「見た目」より「中身の面白さ」を確認しましょう。

§2.引き算の美学(MVP開発)

ここで重要な考え方がMVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)です。 「これがないと、そのゲームとして成立しない」要素はなんですか?

‣マリオなら: 「ジャンプ」と「移動」。

‣RPGなら: 「移動」と「戦闘」。

‣シミュレーションなら: 「パラメータの増減」。

例.車を作りには何が必要?

 それ以外の「装備システム」「複雑なスキルツリー」「豪華なオープニングムービー」は、一旦すべて捨ててください。これらは後から乗せる「飾り」です。まずは、装飾のない土台だけで遊べる状態を目指しましょう。


§3.全体像を決める(部分に分けて開発)

 頭の中だけで考えると、妄想は無限に膨らんでしまいます。 テキストファイル(メモ帳)やノート1ページに、以下の3点を書き出してください。

  1. プレイヤーは何をする?(例:敵を避けてゴールへ向かう)

  2. どうなったらクリア?(例:右端の旗に触れる)

  3. どうなったらゲームオーバー?(例:穴に落ちる)

これだけ決まっていれば、開発という旅に出発できます。


【まとめ】

 まずは「1週間で作れる簡単なゲーム」を完成させてみてください。未完成の超大作より、完成したクソゲーの方が、クリエイターとしての経験値は100倍高いのです。

番外編コラム:【実録】SAPO流・コンセプトの「絞り込み」術 ~ 『Corporate_wars』から『Regional_Inc』への進化論 ~

  開発の教科書にはよく「面白い機能を盛り込もう」と書いてありますが、現役開発者SAPOの手順は違います。 重要なのは「どこをゲーム化して、どこを捨てるか」の取捨選択です。

Case Study: 2つの会社経営シミュレーション

 SAPOが開発した2つのゲームを例に、その「焦点(フォーカス)」の違いを見てみましょう。

ゲーム名Corporate_wars (前作)Regional_Inc (新作)
ターゲット硬派なシミュレーション好きカジュアル層向け(優しいUI)
削除した要素-営業所の設立、研究機能
重視した要素総合的な会社拡大子会社機能、株価維持、資源(水・電気・食)

§1. 「何を作るか」ではなく「どこを切り取るか」

 ジャンルを「会社経営」と決めた後、すべての要素(人事、営業、開発、広報…)を入れようとすると、ゲームは複雑になりすぎて破綻します。

  • Corporate_wars: 「営業所」や「研究」など、組織としての拡大を重視。

  • Regional_Inc: あえてそれらを「取っ払う」という決断をしました。その代わり、「水・電気・食料」というインフラ資源と「株価」に焦点を絞りました。

「機能を減らす」ことは「劣化」ではありません。「遊びの味が明確になる」のです。

解像度がガビガビになってるけど、まあいっか...

§2. 最低限(MVP)を作ってから、趣味を足す

開発手順も徹底しています。

  1. コアシステムの構築: まずは「株価・インフラ・建築」という、これがないとゲームにならない最低限のシステムだけを作って動かします。

  2. 「個人的な面白さ」の実装: 土台が動いてから初めて、「これを入れたら面白いんじゃないか?」というアイデアを足していきます。

土台がしっかりしているからこそ、後から足すスパイス(アイデア)が活きてくるのです。

2025年12月1日月曜日

【お知らせ】新作シミュレーションゲーム2本公開!開発協力について

 こんにちは、SAPOです。

今回は『SAPO_CREATE_STATION(サポクリエイト)』としての活動報告のお知らせです。

この度、フリーゲーム投稿サイト「Freem!(ふりーむ!)」にて公開されている、以下の3つのシミュレーションゲームの開発に、当サポクリエイトも協力させていただきました。

▼公開ページはこちら(Freem!) https://www.freem.ne.jp/brand/16250

特に最近、このうちの 2本の新作 が新たに公開されました!

【今回公開された作品】

  • New『Regional_Inc_RTS』

  • New『Corporate_wars』

  • 『Game of Civic Strategy(疑似選挙シミュレーター)』

これらの作品は、[(例:戦略・育成など)] をテーマにしたシミュレーションゲームです。 サポクリエイトでは、主に [(例:システム構築 / バランス調整 など)] の面で開発のサポートをさせていただきました。

また、これらの作品は、サークル「GCS-97」のソフトウェア・ゲーム作成部門である 「GCOT」の公式サイトでも今後公開予定 (『Regional_Inc_RTS』以外公開中)となっています。

▼GCOT 公式サイト https://sayu-gcs.sakura.ne.jp/

現在はFreem!にてダウンロード可能ですので、シミュレーションゲームがお好きな方は、ぜひ遊んでみてください。

今後もSAPO_CREATE_STATIONでは、個人の制作活動だけでなく、こうした開発協力も積極的に行っていきたいと考えています。

感想やバグ報告などは、各作品ページやこちらのブログまでいただけると励みになります。

開発期間1ヶ月かかったほうのロゴ!!

それでは、また!

【重要】プロジェクト名称変更のお知らせ —— 「SAPON_CREATE_STATION」へ

 いつもGCS-97ならびに当プロジェクトを応援いただき、誠にありがとうございます。 この度、私が展開するプロジェクトの名称を、以下の通り変更することとなりました。 今回の変更は、今後のさらなる活動の発展と、より一貫したブランドイメージの確立を目的としております。 変更内容 これ...